SDGsについて考える
鳥取県原木しいたけブランド化促進協議会
鳥取県椎茸生産組合連合会
なぜ「しいたけ」が海を守るの?
豊かな森が育つことは、豊かな海を守ること「山」と「海」の切っても切れない関係
原木栽培しいたけ
―自然の中で果たす大きな役割―
森と海の関係は、SDGsの取り組みから、広く認識をされるようになりました。
自然界の中で、きのこはそうじ屋(分解者)として大きな役割を持っています。きのこが分解してできた養分は植物の栄養になり森を育てます。山で作られた栄養分は、雨と一緒に川をつたい海へと流れて行きます。その養分が海の生き物を元気に育て、私たちに豊かな恵みをもたらしてくれます。しいたけは、その養分作りの重要な役割を担ってくれています。
森を若返らせる
しいたけ栽培に使われる原木は、どんぐりのなるクヌギ・コナラなどの広葉樹が原木として使われます。広葉樹は、木を伐採すると、伐採された切り株から新芽(ひこばえと言います)が出てきます。伐採された木は20年から25年かけて大きく生長していきます。 このように定期的に樹木を伐採し、その切り株から伸びた萌芽が生長し、新たな樹林の構成(「萌芽更新(ぼうがこうしん)」という)を繰り返すことで森を若返らせることが出来ます。原木栽培は森を若返らせ、多様な植物を育てていくことに大きく貢献しています。(※新芽が出ることを「萌芽」と呼びます。)
森で海の養分が作られる
森林では、広葉樹の落葉や枝などが微生物によって分解され栄養分となります。キノコ類は、落ち葉や枝を分解して、自らの栄養としています。この分解の時に出来るのがフルボ酸です。
フルボ酸は腐植土(枯れた植物や樹木などが腐り、堆積してできた有機物を多く含む土)と結合してフルボ酸鉄となります。このフルボ酸鉄や森で作られた養分が川を流れやがて海に運ばれます。河川や海中で暮らす生き物たちの栄養となります。
海を育てる
海中の藻や植物プランクトンの成長には窒素が不可欠です。この窒素を吸収するには、触媒の働きをする鉄が必要ですが、山から運ばれたフルボ酸鉄が大きな役割を果たしています。
手入れが行き届いていない古木の多い山では豊かな腐植土が出来ないため、栄養分やフルボ酸鉄もあまり形成されず、結果として、海中の藻や植物プランクトンは窒素が吸収できないということになってしまい、水中で生きる生き物たちに大きな影響を与えます。森林資源が豊かであればあるほど、そこにつながる河川や海の生態系も豊かになるのです。
原木しいたけ生産者の役割
乾椎茸の歴史は古く、一説によると弘法大師が唐から帰国後に乾しいたけの食習慣を伝えたといわれます。
鎌倉時代の禅僧、道元が著した「典座教訓」には日本産原木乾しいたけを題材に教えを受ける逸話が幾つか記されています。千年を超える長い歴史の中で、今日まで日本人の食文化に深く係ってきた食材です。江戸時代より、森林の広葉樹を利用して行われてきた原木栽培は、今日まで自然と共存しながら栽培が行われ、自然のサイクルにのっているからこそ成り立っています。しいたけの生産者は、森林を管理し、広葉樹を守ってきました。豊かな自然を未来へ繋げるために、原木しいたけが食卓を飾る一品になる事を願ってやみません。